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高森明勅
2022.3.23 09:00皇室

現在の皇室で唯一の直系皇族、敬宮殿下は特別にご称号をお持ち

内廷(いわゆる天皇家)にお子様、お孫様が生まれられると、
直系皇族としてお名前(実名)の他に、ご称号(通称)が
天皇によって定められる。

天皇陛下は「浩宮(ひろのみや)」、秋篠宮殿下は
「礼宮(あやのみや)」、ご結婚によって皇室から離れられた
黒田清子(さやこ)様は「紀宮(のりのみや)」というご称号を、
それぞれをお持ちだった。

このご称号は、男性皇族が独立した世帯を営まれる際に
授けられる、宮号(みやごう)とは区別される。

秋篠宮殿下の場合、「礼宮」がご称号だが、
ご結婚されて独立の世帯を営まれるに当たり、「秋篠宮」
という宮号を授けられた。

よく誤解されるが、宮号はあくまでもそれを授けられた
皇族ご本人に属するもので、世帯全体の名字のような
性格は持たない。
だから、秋篠宮紀子妃殿下とか秋篠宮佳子内親王殿下
という呼び方は、正しくない。
秋篠宮妃紀子殿下であり、秋篠宮家の(ご次女)
佳子内親王殿下という言い方が正確だ。
なお、秋篠宮家のお子様方は傍系なので、
悠仁親王殿下を含めてご称号はお持ちでない。

それはともかく、天皇陛下の次の世代で上記の
ご称号をお持ちなのは、改めて言うまでもなく、
敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下だけ。
これは、敬宮殿下こそ、今の皇室でたった“お1方”だけの
直系皇族である事実を示す。

平成時代(つまり天皇陛下がまだ皇太子であられた頃)の著作だが、
故・高橋紘氏の遺著『人間 昭和天皇』(上巻)にこんな記述がある。

「称号は貴人の名前を呼ぶのは恐れ多いことから付けられた。
皇太子家の長女を『愛子さん』『愛子さま』と呼んでいるが、
本来は『敬宮さま』と言うのがマナーである」と。

やかましく言えば、「敬宮さま」ではなく「敬宮殿下」が正しいだろう。
しかし、本来の呼び方を承知した上で、しかるべき慎みを持ちつつ、
ご実名を含めてケースバイケースでよいと思う。

過剰な形式主義に堕してしまって、逆に皇室を国民から
縁遠い存在にしてしまうことは、恐らく皇室の方々の
お気持ちにも背くことになるだろう。

それでも、敬宮殿下が傍系の宮家のお子様方とは区別され、
特にご称号を持っておられる事実については、
決して見逃すべきではあるまい。

追記

プレジデントオンラインの連載「高森明勅の『皇室ウォッチ』」は、
敬宮殿下のご会見を取り上げた特別原稿と今月分の原稿が、
24日・25日と連続で公開予定なのでお伝えしておく。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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